中学生の職業観と生活自立能力と生活設計との関連性
寺田桃子
[目的]
今日、若者の職業観がゆらいでおり、フリーターなどの増加が著しい。こうした職業観の変化は未婚率の増加や少子化などの家庭生活に関することと複合的にからみあっている。自分を生かす「生き方の教育」が進路指導であるといわれるが、家庭科も同様の課題をもっている。
そこで、本研究では、具体的な進路指導が始まる中学生に焦点を当て、中学生が将来の職業や家庭生活についてどんな考えをもっているのか調査し、職業生活と家庭生活の両方を含め、家庭科における生活設計の指導内容を追求したい。
[方法]
調査方法:質問紙調査、家庭科の授業で配布、記入、回収
調査対象:東京都内の国立、公立、私立中学校2年生 計489名
調査項目:@回答者の属性 A職業観について
B家庭の仕事について C生活設計について
[仮説]
@ 将来やりたい仕事が明確な人は、現在の生活自立能力が高い。
A 将来やりたい仕事が明確な人は、生活設計において高い自立意識がみられる。
B 生活設計が明確な人は、生活自立能力が高い。
[結果]
@ 将来やりたい仕事がない人は、家庭の仕事をしない人が多く、逆に将来やりたい仕事が明確な人や決まっていないが悩んで考えている人の方が家庭の仕事を「する」と回答した人が多い。
A 将来やりたい仕事が明確な人は「婚姻届けを出している」「自分の子ドモガイル」「パートナーと協力する」などと10年後の生活設計が明確である。将来やりたい仕事がない人と悩んでいるひとは、「想像できない」と回答する傾向がある。また、将来やりたい仕事が明確な人と悩んでいる人は家事分担や家計負担は「パートナーと協力する」という傾向があるが、将来やりたい仕事がない人は想像できない」と回答する傾向がある。
B 生活設計が明確な人は多様な家庭の仕事を行っている傾向があり、逆に生活設計をたてることができない人はしない傾向にあった。また、「自分の収入のみで家計をささえる」と回答している人は、多くの家庭の仕事を行う傾向にあった。
よって、仮説の@ABは証明された。